タマコシ シネマティック ユニバース

主に映画レビュー。その他はどーでもいーこと

第3回タマデミー賞(2020年映画ベスト10)

 

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あけましておめでとうございます。趣味で始めたこの映画ブログですが、元々文章を書くのがあまり得意ではなく、全然更新ができていません(毎回言ってる…)。本当はこの記事も2020年内にあげたかったのですが、まとめるのに時間がかかり(まとまっていると言えるかわかりませんが…)、年をまたいで二日遅れの投稿となってしまいました。ブログを初めて二年、今までコメントゼロ、好評批評どちらの声も全く届いていません。なので、どれくらいの人がこの記事を読んでくれているかわかりませんが、更新を楽しみにしてくれている友人が少なくとも2~3人は心当たりがあるので、そんな彼らのためにも、それ以上に私個人の自己満足のために、この記事を投稿させて頂きます。

 

この記事は、私の趣味嗜好価値観で選んだ2020年映画ベスト10を発表するものです。今年はコロナ渦により、劇場が閉まっていた時期があったり、公開延期になった作品があったり、多数のリバイバル上映作品があったりで、今までのような映画の楽しみ方ができない年でした。また最近は、Netflixアマゾンプライム等の動画配信サービスも充実しており、そこでしか観られない作品や劇場鑑賞叶わずとも後追いですぐに鑑賞できた作品等も多数あります。そのような事情もあり、今年から選考対象作品の条件を少し変えようと思います。

 

選考対象作品

  1. 2020年内に日本で劇場公開された新作映画。
  2. 2019年後半に日本で劇場公開され、2020年をまたいで上映されていた新作映画
  3. 上記の①②は、劇場で鑑賞したかは問わない(動画配信やDVDでの鑑賞も含む)
  4. 2020年内に配信開始した動画配信サービスオリジナル映画(今年はNetflixのみ)
  5. 2019年以前に鑑賞したことのあるリバイバル上映作品は含まない。

 

劇場鑑賞作品

ジョジョラビット』、『パラサイト 半地下の家族』、『リンドグレーン』、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』、『ナイブズアウト 名探偵と刃の館』、『ミッドサマー』、『グッド・ボーイズ』、『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』『デッド・ドント・ダイ』『テネット』『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』『82年生まれ、キム・ジヨン』『ホテルローヤル

 

劇場公開だが配信鑑賞作品

『スケアリーストーリーズ 怖い本』『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』『リトルモンスターズ』

 

配信限定鑑賞作品(Netflix

『#生きている』『泣きたい私は猫をかぶる』

 

以上、劇場鑑賞が13本、公開終了後鑑賞が5本、配信限定鑑賞が2本

合計20から選びます。

 

 

採点基準

当然ながら面白かった作品かどうか。笑えたか、泣けたか、驚いたか、もう一度観たいか、人に勧めたいか、etc…といった「映画が持つ様々な要素」に点数を付けてそれらを足す。

基本点が各3点満点の計42点満点

ボーナス点が各2点満点+αで、計14+α

最終的に50点満点で採点して順位を決める。詳しい採点基準は前回の記事を参照。

 

 

tamakocinemaunive.hatenablog.com

 

 

 

 ここから先

基本的にネタバレ込みレビューとなります。未鑑賞の方は、自己責任で読んでください。

 

それでは…

 

 

 

10位『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY

 

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[日本公開] 3.20 [時間] 109分 [国] アメリ

[ジャンル] アメコミ、クライム、アクション

[監督] キャシー・ヤン

[キャスト] マーゴット・ロビーメアリー・エリザベス・ウィンステッドユアン・マクレガーボヤナ・ノヴァコヴィッチ、ジャニー・スモレット・ベル、クリス・メッシーナ

解説

スーサイド・スクワッド」に登場して世界的に人気を集めたマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインが主役のアクション。悪のカリスマ=ジョーカーと別れ、すべての束縛から解放されて覚醒したハーレイ・クイン。モラルのない天真爛漫な暴れっぷりで街中の悪党たちの恨みを買う彼女は、謎のダイヤを盗んだ少女カサンドラをめぐって、残忍でサイコな敵ブラックマスクと対立。その容赦のない戦いに向け、ハーレイはクセ者だらけの新たな最凶チームを結成する。マーゴット・ロビーが自身の当たり役となったハーレイ・クインに再び扮し、敵役となるブラックマスクをユアン・マクレガーが演じた。監督は、初長編作「Dead Pigs」がサンダンス映画祭で注目された新鋭女性監督キャシー・ヤン。

(映画.com)

 

基本点

≪序盤≫3点

≪再観≫2点

≪勧め≫3点

≪語り≫2点

計10点

≪笑い≫3点

≪泣き≫2点

≪興奮≫3点

≪共感≫2点

≪場面≫1点

計11点

終結≫2点

≪独創≫2点

≪配演≫3点

≪撮構≫3点

≪楽易≫1点

計11点

 

計32点

 

ボーナス点

≪熱意≫1点

≪学び≫0点

≪驚愕≫1点

≪映画≫2点

 

 

≪美爽≫2点

≪求め≫2点

≪思出≫0点

≪他ボ≫1点

計9点

 

≪基本点≫ 32点 + ≪ボーナス点≫ 9点 = 41

 

 

 

本作は、劇場で観たかったけどコロナ渦の影響に加え引っ越し転職の都合で観にいけなかったので、後に動画配信で観た作品。例年ならこのランキングは「劇場で観た作品」のみを対象とするのだけど、今年はコロナ渦で事情が変わったので、条件変更。

 

ガールズパワー

ガールズパワー全開な作品だった。最初に本作の予告を観た時は、申し訳ないけど「ジョーカーと別れたハーレイ・クイン?大丈夫なの?」という印象だった。でも間違っていた。ジョーカー無しだからこそ良いんだ。「強大な力と存在感を持った男の付属品」と見られがちな女性が、「そうじゃない!私は私だ!」と言っているような。そんな印象を受けた。ハーレイ以外の登場人物も、それぞれに何かしらの形で男(または男社会)に蔑まれて不自由な生活を強いられてきた女性たち。彼女たちがそれぞれ立ち上がり、男たちに復讐して自由になる。そんな映画だった。

 

群像劇からのチームプレイ

前半では、ハーレイ以外の女性キャラが立場も目的もそれぞれ違う。時に敵対し、時に共闘する。そういう群像劇が面白い。原作知識もあまりなかったので、最終的には、誰が味方で誰が敵になるのだろうという感じだった。でも最後びっくり、気づいたら五人が集まり同じ敵の男たちに四面楚歌状態、敵味方だった五人がキレイにガールズチームの出来上がり。虐げられてきた五人が共闘して男たちに復讐する様にスカッとした。

 

DC版デットプール

デットプールみたいだなと思った。ナレーションがハーレイ本人なのと時系列が行ったり来たりするから。あと予告編の時に『IT/イット』のように見せかけてペーニ―ワイズの風船を割りながら「ピエロはもう飽きた」と言う演出がそう思わせたのかもしれない。

 

 

9位『ミッドサマー』

 

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[日本公開] 2.21 [時間] 147分 [国 アメリカ]

[ジャンル] ホラー、ミステリー

[監督] アリ・アスター

[キャスト] フローレンス・ビュー、ジャック・レイナー、ウィル・ポールター、

解説

長編デビュー作「ヘレディタリー 継承」が高い評価を集めたアリ・アスター監督の第2作。不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。ダニー役を「ファイティング・ファミリー」のフローレンス・ピューが演じるほか、「トランスフォーマー ロストエイジ」のジャック・レイナー、「パターソン」のウィリアム・ジャクソン・ハーパー、「レヴェナント 蘇えりし者」のウィル・ポールターらが顔をそろえる。

(映画.com参照)

 

基本点

≪序盤≫3点

≪再観≫2点

≪勧め≫1点

≪語り≫2点

計8点

≪笑い≫0点

≪泣き≫2点

≪興奮≫3点

≪共感≫2点

≪場面≫3点

計10点

終結≫3点

≪独創≫3点

≪配演≫3点

≪撮構≫2点

≪楽易≫2点

計13点

 

計31点

 

ボーナス点

≪熱意≫1点

≪学び≫1点

≪驚愕≫2点

≪映画≫2点

 

 

≪美爽≫2点

≪求め≫2点

≪思出≫0点

≪他ボ≫

計10点

 

≪基本点≫ 32点 + ≪ボーナス点≫ 10点 = 42

 

 

 

新しいタイプのホラー

ホラーが好きで毎年何かしらのホラー作品をベスト10に入れている私だが、このミッドサマーはまた新しいタイプのホラー映画だった。雰囲気が気持ち悪くて怖かった、ホラー好きとしては当然好評価なのだけど、人に勧められるかと言うと難しい。R-15指定だし、鬱展開はあるし、眼を覆いたくなる描写も多々ある。でも本作は女性に絶大な人気があるらしい。

まず冒頭で主人公に降りかかる不幸が作品全体の不穏な空気を作り出す。そして、その不幸以前から主人公が恋人と上手くいっていない事が会話と雰囲気から伝わってくる。そして、主な舞台となる村が太陽の沈まない地域で、終始明るいのが逆に不気味だった。

 

異文化の怖さ

自分とコミュニティと異なる文化に初めて触れる時というのは、誰だって怖いと思う。本作はそれが引き立っていたと思う。スウェーデンの奥地にある近代的文化を持たない村。そこで90年に一度行われる祝祭。これだけでなんか嫌な予感しかしない。案の定彼らの持つ宗教観や文化は、主人公たちアメリカ人の常識からしたら常軌を逸している。それが作中で少しずつ少しずつ分かっていく。途中徐々にやばいなと思いながらも、その村に長く滞在しているうちにそこの常識に慣れていく主人公たち。そしていつの間にか取り込まれていくのが怖かった。

 

恋愛映画

本作を絶賛している女性の感想で、「本作は恋愛映画だ」というものがあった。実際監督も失恋の経験から本作を撮ったと言っている。家族の不幸に見舞われ、恋人と上手くいっていない精神不安定な主人公が救われる物語。そう、本作はホラー映画なのに、観る人によっては救済の映画なのだ。エンドロール直前の主人公の笑顔がそれを物語る。でも、多くの登場人物にとってはバットエンドなのに、主人公にとってはハッピーエンド、それが私にはなんとも不気味で恐ろしかった。

 

 

本作は追加映像を加えたディレクターズカット版(R-18指定)も出ているらしい。メンタルに応えるけど複線もいろいろあって、中毒性のありそうな作品だから、精神的に安定している時にまた観たいと思う。また、今年公開が叶わなかった『ブラックウィドウ』で主人公の妹役で本作のフローレンス・ビューが出ているのでそれも楽しみ。

 

 

 

8位『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』

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[公開] 10.16  [時間] 117分  [制作国] 日本

[ジャンル] アニメ、SF、アクション、時代劇

[監督] 外崎春雄  [原作] 吾峠呼世晴週刊少年ジャンプ

[キャスト] 花江夏樹鬼頭明里下野紘松岡禎丞日野聡平井大

解説

週刊少年ジャンプ」で2016~20年に連載され、単行本1~22巻の累計発行部数が1億部を突破する吾峠呼世晴の大ヒット漫画をアニメ化した「鬼滅の刃」の劇場版。19年4~9月に放送され、炭治郎らが無限列車に乗り込む場面で終了したテレビアニメ版「竈門炭治郎 立志編」最終話のその後の物語が描かれる。大正時代の日本。鬼に家族を皆殺しにされ、生き残った妹の禰豆子も鬼に変貌してしまった炭治郎は、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、鬼狩りの道を進む決意をする。蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、短期間のうちに40人以上もの人が行方不明になっているという無限列車に到着する。炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助は、鬼殺隊最強の剣士の1人、煉獄杏寿郎と合流し、無限列車の中で鬼と立ち向かう。

(映画.com参照)

 

基本点

≪序盤≫3点

≪再観≫2点

≪勧め≫2点

≪語り≫3点

計10点

≪笑い≫2点

≪泣き≫3点

≪興奮≫3点

≪共感≫3点

≪場面≫3点

計14点

終結≫1点

≪独創≫2点

≪配演≫2点

≪撮構≫3点

≪楽易≫3点

計11点

 

35点

 

ボーナス点

≪熱意≫2点

≪学び≫1点

≪驚愕≫1点

≪映画≫2点

 

 

≪美爽≫2点

≪求め≫2点

≪思出≫0点

≪他ボ≫0点

計10点

≪ボーナス点≫

≪基本点≫ 35点+ ≪ボーナス点≫ 10点 = 45

 

もはや説明するまでもない今年最大の話題作。映画界だけでなく一般でも社会現象でしたね。

日本の歴代興行収入1位の『千と千尋の神隠し』を抜いた事が記憶に新しいです。話はそれるけど、記録を塗り替える直前のデータでは、コロナ渦によるリバイバル上映で(私も観に行きました)、『千と千尋~』が追加の売り上げにより追いつかれず逃げていた、という話に笑いました。本作は、コロナ渦により厳しい経営状況となった映画館の救世主となってくれた事に、作品の良し悪しに関わらず映画ファンとして感謝したい。

あと、もう一つどうでもいい話だが、私が本作を観に行くかどうか迷っている時、親戚の4歳の男の子からあっさりと重大なネタバレを喰らってしまった。鬼滅の事で頭がいっぱいな今の子供たち、ましてや「ネタバレ」という概念を理解しない4歳の子なので仕方がない。まあ今回の私は、それを聞いた後でも楽しめたが、気になる話題作は、早く観なければならないと改めて思った。

 

一見さん歓迎

私は、とくべつ鬼滅ファンという訳ではない。原作は姪の持っていた1巻を読んだだけだし、TVアニメは自粛中に家事のBGMとして流し観した程度。たしかに1巻読んだ時もアニメ観た時にも面白いとは思ったけど、ドハマリする程ではなかった。それを踏まえた上でも、この『劇場版 無限列車編』は素晴らしいと感じた。まず原作やTVシリーズを観てない人にも易しい作りになっている。冒頭の10~20分で各キャラがどういう人物で、彼らが何を目的に旅をしていて、誰が敵で誰が味方か、というのを画と展開と言葉でわかりやすく説明されている。それは、夢の設定や敵の魘夢(えんむ)との闘いにおける「どうしたら勝ちでどうなったら負けか」といった説明も同じ。人によっては、この説明が「何度もくり返しでくどい」と感じるかもしれないが、既存ファンも一見さんも見られるというのは、シリーズ作品の新作として大切な事だと思う。

 

夢という題材、列車という題材

夢と列車、どちらも映画の題材として改めて面白いと思った。

夢と言えば、『インセプション』や『エルム街の悪夢』。『エルム街の悪夢』のフレディは題名通り悪夢の中で攻撃してくるが、今作の魘夢(えんむ)は心地よい夢を見させて殺しに来る。そこが逆に恐ろしいと思った。描きながら思い出した事だが、よく言われる泣きポイントとして煉獄さんが挙げられるが、この夢の世界での家族と別れる場面に涙した。せっかく生きている家族と再び、それも炭治朗自らの意思で…。これ、『ワンダーウーマン1984』とも通ずるものがある。「嘘から真実は生まれない」的な。

列車は「閉鎖空間」であり、ある目的地に向かっていく構図が「時間的緊張感」を産み、「物語」に合っている。私の2017年ベスト『新幹線 ファイナルエクスプレス』も最初から最後まで列車の中が舞台となっている。

世界初の映画は、リュミエール兄弟が1985年に公開した『ラ・シオタ駅への列車の到着』らしい。ただ駅に到着する列車を映しただけの50秒の記録映画だが、このコロナ渦による映画館の危機を救った(日本のみではあるが)本作『鬼滅の刃 無限列車編』が同じ列車を題材にしているのは、なんとも感慨深い。

 

煉獄さん

ここから重大なネタバレを書くが、本作の評価を爆上げした功労者は、やはり煉獄杏寿郎だろう。観る前から周りが「煉獄さん!煉獄さん!」と騒いでいて、「言うて、よくあるベタな中学生が好きそうなキャラやろ?」とナメた感じで油断して構えていたら、見事に劇場で泣かされた。ちなみに4歳の子にネタバレされたというのが、この煉獄さんの最期だ。

「次世代編への魂の継承」というのが凄く好き。鬼殺隊としての目的・信念が「鬼という悪を倒す(殺す)こと」というよりも「鬼という驚異から人々を守ること」なのが凄く好印象だった。

そして「試合に負けて、勝負に勝つ」的な展開が大好物。上弦の鬼との闘いで煉獄さんは、最終的に命を落とすが、「一般市民を死なせない」という目的達成を含めて、魂・精神力の勝負という意味においては、生き残った鬼に完全に勝っていた。だからこそ、炭治郎が逃げる鬼に対して「逃げるな卑怯者!煉獄さんは負けてない!」と叫んだのが嬉しかった。この構図は、善悪の立場は逆だが『アベンジャーズ エンドゲーム』の序盤サノスとも一緒。

 

ファンではないと言ったが、もう少し人気が落ち着いたら、原作を全巻まとめ読みしようと思った。

 

 

7位『ワンダーウーマン1984』

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[日本公開]  12.18 [時間] 151分 [国] アメリ

[ジャンル] アメコミヒーロー、アクション

[監督] パティ・ジェンキンス

[キャスト] ガル・ガドットペドロ・パスカルコニー・ニールセンクリス・パインクリステン・ウィグ

解説

DCコミックスが生んだ女性ヒーロー、ワンダーウーマンの誕生と活躍を描き、全世界で大ヒットを記録したアクションエンタテインメント「ワンダーウーマン」の続編。スミソニアン博物館で働く考古学者のダイアナには、幼い頃から厳しい戦闘訓練を受け、ヒーロー界最強とも言われるスーパーパワーを秘めた戦士ワンダーウーマンという、もうひとつの顔があった。1984年、人々の欲望をかなえると声高にうたう実業家マックスの巨大な陰謀と、正体不明の敵チーターの出現により、最強といわれるワンダーウーマンが絶体絶命の危機に陥る。前作でもメガホンをとったパティ・ジェンキンス監督のもと、主人公ダイアナ=ワンダーウーマンを演じるガル・ギャドットが続投し、前作でダイアナと惹かれあった、クリス・パイン演じるスティーブも再び登場する。

(映画.com参照)

 

基本点

≪序盤≫3点

≪再観≫3点

≪勧め≫2点

≪語り≫2点

計10点

≪笑い≫3点

≪泣き≫2点

≪興奮≫3点

≪共感≫3点

≪場面≫2点

計13点

終結≫2点

≪独創≫1点

≪配演≫2点

≪撮構≫2点

≪楽易≫3点

計10点

 

計33点

 

ボーナス点

≪熱意≫2点

≪学び≫1点

≪驚愕≫1点

≪映画≫1点

 

 

≪美爽≫2点

≪求め≫2点

≪思出≫1点

≪他ボ≫2点

計10+2点

 

≪基本点≫ 33点 + ≪ボーナス点≫ 10+2点 = 45

 

ここ数年で最も好きなジャンルであるアメコミヒーロー。今年はコロナ渦で、その代表とも言えるMCU(マーベル)作品が一本も公開されなくて寂しかった。マーベルの新作を観ないなんて何年振りだろう。そんな中でDCが頑張ってくれて、『ワンダーウーマン1984』と『ハーレイ・クイーンの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』の2本を公開してくれた。残念ながら『ハーレイ~』は劇場で観られなかったが後に配信で鑑賞。どちらも最高に面白かった。

 

1980年代

DCEUにおけるワンダーウーマンは、2016年『バットマンVSスーパーマン』で初登場、2017年公開の第1作『ワンダーウーマン』が第1次世界大戦を舞台とし、2017年『ジャスティス・リーグ』に続いて、今作は4作目。鑑賞前、あまり深く考えていた訳ではないけど、どうして84年なんだろう?

個人的に思うのは、ここ数年の良いアメリカ大作映画は、良い意味で昔っぽいというか、レトロというか、「俺たちはアメリカ映画のこういう雰囲気が好きなんだよ!」って感じの70’s,80’s,90’sの要素を含んだ作品がいくつもある。MCUで言えば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『キャプテン・マーベル』、そして『ローガン』、DCでは『シャザム』『ジョーカー』、アメコミ以外でも『IT/イット』『レディ・プレイヤー1』などが思い浮かぶ。そういう古き良きアメリカ映画のテイストに合わせるために、時代設定を1984年にしたのかな。

賛否分かれているようだけど、私はその80’sテイストが観ていて面白かった。冒頭ショッピングモールでの活躍は、『コマンド―』を思い出させた。メインのストーリー展開は、良い意味でありきたりというか、わかりやすい話で観やすかった。

 

キレイゴト

冒頭回想のオリンピック(?)で、不正をした幼少ダイアナが師匠に厳しく怒られる描写がある。「嘘からヒーローは生まれない」。最強で完璧に思えるダイアナも、初めからそうだった訳ではない。

メインヴィランである実業家マックスは、他人の願いを何でも叶えられる石となり、叶えた者から代償として何かを奪う事ができる。終盤でどう考えてもマックスを殺さないと事件が収集しないと思う状況でも、ダイアナはマックスを殺さなかった。言葉による説得で世の中を諭して、願いを取り消してもらう事で事件を解決させる。彼女は、世の中の人々を信じた、この世界は美しいと…。

この終わりに、「キレイゴト」「ご都合主義」として否定的な意見を見かける。それは確かに否定できないが、私はその「キレイゴト」を“否”ではなく“賛”といて受け取った。

きれいごとかもしれないけど今の現実世界では、そういうきれいごとが必要なのではないかと。

 

ジェネレーションギャップ

ダイアナとスティーブの立場が前作と逆になっているのが面白い。前作では初めて来た人間界で浮いてしまっていたダイアナに対し、今作では60年以上ぶり現世に戸惑い浮かれるスティーブ。そんなダイアナとスティーブのやり取りが可愛かった。(厳密には違うが)タイムトラベルモノの面白さの一つとして、別の時代から来た者と舞台となる時代の常識の違いから生まれるジェネレーションギャップ的な笑いが好き。

 

三作目の制作も同じ監督で決定したらしい。今年は『ブラックウィドウ』の公開もあるし、今後も女性ヒーローの活躍が楽しみだ。

 

 

 

6位『グッド・ボーイズ』

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[日本公開] 6.12 [時間] 90分 [国] アメリ

[ジャンル] コメディ、青春、冒険

[監督] リー・アイゼンバーグ、ジーン・スタプニツキー

[キャスト] ジェイコブ・トレンブレイ、プレイディ・ヌーン、キース・L・ウィリアムズ

解説

初めてのキスのため奮闘する小学生たちが思わぬ騒動を巻き起こしてしまうさまを描いたコメディ。主演は「ルーム」のジェイコブ・トレンブレイ。監督は、これが長編デビュー作のジーン・スタプニツキー。製作に「ソーセージ・パーティー」「ネイバーズ」などのコメディ作品を手がける俳優のセス・ローゲン。小学6年生のマックス、ルーカス、ソーの3人組は女子たちから「初キス・パーティ」に誘われるが、キスの仕方が分からないので早速リサーチを開始。オトナの世界に好奇心が止まらない3人だったが、そんな中、マックスの父親の大事なドローンが壊れてしまう事件が発生。父親が仕事から戻る前に、遠く離れた隣町のショッピングモールまで行って新品のドローンを手に入れなければならなくなってしまい……。

(映画.com)

 

基本点

≪序盤≫3点

≪再観≫3点

≪勧め≫2点

≪語り≫2点

計10点

≪笑い≫3点

≪泣き≫3点

≪興奮≫3点

≪共感≫3点

≪場面≫2点

計14点

終結≫3点

≪独創≫2点

≪配演≫3点

≪撮構≫2点

≪楽易≫3点

計13点

 

計37点

 

ボーナス点

≪熱意≫1点

≪学び≫0点

≪驚愕≫1点

≪映画≫2点

 

 

≪美爽≫2点

≪求め≫2点

≪思出≫0点

≪他ボ≫0点

計8点

≪基本点≫ 37点 + ≪ボーナス点≫ 8点 = 45

 

子供を主人公にした作品は、あまりハズレが無い。いわゆるイケてないグループに属する小学6年生の3人組の「性の目覚め」と大冒険。オトナの世界に興味があり、何も知らないけど強がって知ったかぶりをする様が笑える。ただの下ネタコメディというだけでなく、彼らの友情と成長が描かれているのが良かった。

 

少年の友情

今作の一番好きな所は、作中の事件がある程度落ち着いでから、何カ月か時間が経過する描写と久しぶりに再会する3人。タイプの違う3人が一緒に一つの事件を経験し冒険し、密度の濃い時間を一緒に過ごすけど、それぞれ進む道が異なり合う回数や話す機会が減っていく。それでも久しぶりに会った時に「会うの久しぶりだし、今後もそれぞれ別の道を歩んでいくけど、俺たちの友情は特別だよな?」と言える関係。だれにでもある少年時代の冒険、何十年も会っていない少年時代の親友、そういうのを想い浮かべて胸が熱くなった。

 

 

5位『テネット』

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[日本公開] 9.18  [時間] 150分  [国] アメリカ/イギリス

[ジャンル] SF、アクション、スパイ

[監督] クリストファー・ノーラン

[キャスト] ジョン・デヴィット・ワシントン、ロバート・パティンソンエリザベス・デビッキアーロン・テイラー=ジョンソン、クレイマー・ポエジーマイケル・ケイン

解説

ダークナイト」3部作や「インセプション」「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきた鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス超大作。「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描く。主演は名優デンゼル・ワシントンの息子で、スパイク・リー監督がアカデミー脚色賞を受賞した「ブラック・クランズマン」で映画初主演を務めたジョン・デビッド・ワシントン。共演はロバート・パティンソンエリザベス・デビッキアーロン・テイラー=ジョンソンのほか、「ダンケルク」に続いてノーラン作品に参加となったケネス・ブラナー、そしてノーラン作品に欠かせないマイケル・ケインら。撮影のホイテ・バン・ホイテマ、美術のネイサン・クローリーなど、スタッフも過去にノーラン作品に参加してきた実力派が集い、音楽は「ブラックパンサー」でアカデミー賞を受賞したルドウィグ・ゴランソンがノーラン作品に初参加。

2020年製作/150分/G/アメリ

(映画.com参照)

 

基本点

≪序盤≫3点

≪再観≫3点

≪勧め≫3点

≪語り≫3点

計12点

≪笑い≫1点

≪泣き≫2点

≪興奮≫3点

≪共感≫1点

≪場面≫3点

計10点

終結≫3点

≪独創≫3点

≪配演≫3点

≪撮構≫3点

≪楽易≫1点

計13点

 

35点

 

ボーナス点

≪熱意≫2点

≪学び≫0点

≪驚愕≫2点

≪映画≫2点

 

 

≪美爽≫2点

≪求め≫2点

≪思出≫1点

≪他ボ≫0点

計11点

 

≪基本点≫ 35点 + ≪ボーナス点≫ 11点 = 46

 

 

コロナ渦により数多くの映画が公開延期になったが、その中で公開してくれたモノの中で最も楽しみにしていた作品。

 

時間の逆行

本作最大の魅力は、なんといっても「時間の逆行」だ。私はタイムトラベル要素を含んだ作品が一番好きで、いろんな作品でいろんなパターンのタイムトラベルを観てきた。しかし、本作で描かれるタイムトラベルは、今まで見たどのタイムトラベルモノとも違う、全く新しい方法で全く新しい表現だった。時間の進行方向を変えるって、今まで思いつきそうで思いつかなかった。それによって生み出される「順行と逆行が入り乱れる世界」というビジュアルが、頭で理解できなくても観ているだけで楽しい。

大袈裟かも知れないが、個人的には今後のSF映画史に大きな影響を与える作品になったと考えている。『ダークナイト』がアメコミ映画を変えたように、『テネット』に影響を受けたクリエイターの今後の作品が楽しみ。

 

難解さ

ノーラン映画と言えば難解なイメージが強いけど、今作は思っていたほど難しくなかった気がする。もちろん、一度の鑑賞で隅から隅まで理解できたわけではないが、それでも大まかなストーリー・各キャラの立場と思惑・重要な展開のロジック・物語の結末、と7~8割はなんとなくでも理解できた。なので映画を楽しむ上では問題ないレベルの難解さだったと思う。

とは言ってもやはり「あれ?」って思うところは確かにある。私が感じたその代表的場面が予告編にも使われた「順行逆行双方からのビル爆破シーン」。あれ確かに面白いし凄いなって思うけど、よくよく考えたら、どうやって建てたの??順行から建設しても逆行から建設しても「破壊された状態が完成」ってことにならない??

なんて事を考えてモヤってはいけない、本作を楽しむには「考えるな、感じろ!」。『ジョジョ』の荒木イズムとか、戦隊やライダーのお祭り映画のノリとか。そういう感じで楽しもう

 

 

 

4位『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』

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[日本公開] 19.12.20 [時間] 168分(129 + 39)[国] 日本

[ジャンル] アニメ、戦争、家族、日常、ドラマ

[監督] 片淵須直  [原作]こうの史代

[キャスト] のん(能年玲奈)、細谷佳正小野大輔尾身美詞、稲葉葉月、花澤香菜

解説

片渕須直監督がこうの史代の同名漫画をアニメーション映画化して異例のロングランヒットを記録し、国内外で高い評価を得た「この世界の片隅に」に、新たなシーンを追加した長尺版。日本が戦争のただ中にあった昭和19年広島県・呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれ、新たな生活を始める。戦況の悪化に伴い生活も困窮していくが、すずは工夫を重ねて日々の暮らしを紡いでいく。そんなある日、迷い込んだ遊郭でリンという女性と出会ったすずは、境遇は異なるものの、呉ではじめて出会った同世代の女性であるリンと心を通わせていくが……。片渕監督のもと、主人公すず役ののん、今作でシーンの追加されたリン役の岩井七世らキャスト陣は変わらず続投。

(映画.com)

 

基本点

≪序盤≫2点

≪再観≫3点

≪勧め≫3点

≪語り≫2点

計10点

≪笑い≫2点

≪泣き≫3点

≪興奮≫1点

≪共感≫3点

≪場面≫3点

計12点

終結≫3点

≪独創≫2点

≪配演≫3点

≪撮構≫2点

≪楽易≫3点

計13点

 

計35点

 

ボーナス点

≪熱意≫2点

≪学び≫2点

≪驚愕≫2点

≪映画≫2点

 

 

≪美爽≫2点

≪求め≫2点

≪思出≫0点

≪他ボ≫0点

計12点

 

≪基本点≫ 35点 + ≪ボーナス点≫ 13点 = 47

 

2017年に話題を呼んだ『この世界の片隅に』。昭和20年夏の広島(呉)を生きた女性の目線で、戦争により変化する日常が描かれる。今作はそのロングバージョンで129分に加え39分の追加映像が入った新作。個人的な評価だが『この世界の片隅に』は全ての日本人が観るべき作品だと勝手に思っている。今作『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、前作『この世界の片隅に』を観た人にも観ていない人にもぜひ観てほしいとと思う。

 

さらにいくつもの日常

今作は、前作の映像はそのままで約40分の映像を追加しただけなのに、ちゃんと別の作品になっていると感じた。前作はすずさんの生活を通して、誰にでもある平和な日常を奪う戦争がいかに残酷かを描かれていた。前作は「日常を通しての戦争」に焦点を当てるために、尺の都合もあり、いくつかのシーンを泣く泣くカットしたのだと思う。今作はそれで描ききれなかった「さらにいくつもの」日常生活を通して、「すずさんと夫・周作さんとの夫婦の葛藤と絆」と「すずさんとリンさんとの友情」が深く掘り下げられている。

 

夫婦とは

今作が前作にプラス40分しただけなのにちゃんと違う作品になっていると言える理由が、「夫婦」についての描写が掘り下げられているからだと思う。周作さんの過去を知ってしまう描写と不妊に悩む描写。嫁いで子供ができないという事は、当時の常識から考えればかなり大きな事だったのだと思うと、すずさんの苦悩が伝わってくる。そして、すずさんと周作さんは、子供の有無に関わらずお互いに好きだからこその喧嘩なんだなあと。

 

優しい映画

前作から言える事だが、今作はとにかく優しい映画。戦争映画とは思えないふんわりした雰囲気で観ていて重くならない。主題歌・挿入歌を唄うコトリンゴの声がそれを更に引き立てる。そして丁寧に描かれる当時の日常生活と正しい戦争描写。だからこそ説教くさくない反戦映画として支持できる。

 

今年は、今作を観た影響もあり、やっと原作の漫画を読むことができた。原作には、『さらにいくつもの』にも入っていないエピソードがいくつかある。毎年夏に行われる終戦特集だが、どれだけ学んでも初めて聞く話に出会う。今年の夏は、リニューアルされた原爆資料館に行くつもりだったが、コロナ渦により断念した。来年落ち着いていたらまた学びに行きたい。

 

 

 

3位『ナイブズアウト/名探偵と刃の館の秘密』

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[日本公開] 1.31 [時間] 130分 [国] アメリ

[ジャンル] クライム,推理サスペンス

[監督] ライアン・ジョンソン

[キャスト]ダニエル・グレイグ、アナ・デ・アルマス、クリス・エヴァンスジェイミー・リー・カーティスマイケル・シャノンドン・ジョンソントニー・スコット、キース・スタンフィールド、キャサリン・ラングフォード、ジェイデン・マーテル、フランク・オズ、リキ・リンドホーム、エディ・パターソン、K・カラン、ノア・セガン、クリストファー・プラマー

基本点

≪序盤≫2点

≪再観≫3点

≪勧め≫3点

≪語り≫3点

計11点

≪笑い≫2点

≪泣き≫1点

≪興奮≫3点

≪共感≫2点

≪場面≫2点

計10点

終結≫3点

≪独創≫3点

≪配演≫3点

≪撮構≫3点

≪楽易≫2点

計14点

 

計35点

 

ボーナス点

≪熱意≫1点

≪学び≫2点

≪驚愕≫2点

≪映画≫2点

 

 

≪美爽≫2点

≪求め≫2点

≪思出≫0点

≪他ボ≫1点

計12点

 

≪基本点≫ 35点 + ≪ボーナス点≫ 12点 = 47

解説

スター・ウォーズ 最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督が、アガサ・クリスティーに捧げて脚本を執筆したオリジナルの密室殺人ミステリー。「007」シリーズのダニエル・クレイグ、「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」シリーズのクリス・エバンスら豪華キャストが顔をそろえる。世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティーが彼の豪邸で開かれた。その翌朝、ハーランが遺体となって発見される。依頼を受けた名探偵ブノワ・ブランは、事件の調査を進めていく。莫大な資産を抱えるハーランの子どもたちとその家族、家政婦、専属看護師と、屋敷にいた全員が事件の第一容疑者となったことから、裕福な家族の裏側に隠れたさまざまな人間関係があぶりだされていく。名探偵ブラン役をクレイグ、一族の異端児ランサム役をエバンスが演じるほか、クリストファー・プラマー、アナ・デ・アルマス、ジェイミー・リー・カーティスらが出演。

(映画.com参照)

 

 

推理探偵モノというジャンルをあまり多く観ていないのだけど、そんな私でもめちゃくちゃ面白いと思えた作品。王道を行きながら(数観てないけど推理探偵モノのイメージ)、変化球を加えた作品。

 

王道からの変化球

大富豪のおじいちゃんが死んじゃって、その遺産相続問題で集まった家族。予告編でも言われていたが、登場人物がみんな怪しい。息子・娘・孫・使用人、それぞれに亡くなったおじいちゃんと生前トラブルを持っていて、誰が犯人か全く予想できない。そこにちょっと変人っぽい名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・グレイヴ)が来て犯人探し。

前半は割と王道な感じだけど、観ていると結構早く犯人がわかってしまう。でも、そこからの変化球で展開が読めない。王道のようで革新的、そんな印象を受けた。

 

クリス・エヴァンス

本作ので一番印象的なキャラがクリス・エヴァンス演じる長女の息子ランサム。殆どの人がそうだと思うがクリス・エヴァンスと言えば、MCUスティーブ・ロジャースキャプテン・アメリカ)。正義の象徴であり誰よりも正しい心を持ったヒーローで、私が一番好きなシリーズの一番好きなキャラクターだ。そんなキャップのイメージが強いクリス・エヴァンスが、富豪一家の問題児で毒の強いクソ野郎を演じる。正義のヒーローからクソ野郎へのギャップが面白くて、凄い俳優だなと改めて思わされた。

 

皮肉

推理探偵モノとしての面白さは当然ながら、最後に皮肉が効いていたのが良かった。犯人がわかり、全てが解決した後でも、犯人以外の残った人たちにもそれぞれの罪に対する罰みたいのがあって、ただの探偵モノではないなとい感じた。これも主人公探偵ブノワ・ブラノが解決したからこそという感じ。ブノワ・ブラノが解決する別の難事件も観てみたい。ぜひともシリーズ化してほしい。

 

全ての作品に言える事だけど、鑑賞直後に面白いと思っても、一回きりで何カ月も観返してないと内容を忘れている部分がある。これを書きながらそれを痛感している。やはりもう一度見たい作品だ。

 

 

 

2位『パラサイト 半地下の家族』

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[日本公開] 1.10 [時間] 132分 [国] 韓国

[ジャンル] ブラックコメディ、ドラマ、スリラー

[監督] ポン・ジュノ

[キャスト] ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジュン、チェ・ウシク

解説

殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」の監督ポン・ジュノと主演ソン・ガンホが4度目のタッグを組み、2019年・第72回カンヌ国際映画祭韓国映画初となるパルムドールを受賞した作品。第92回アカデミー賞でも外国語映画として史上初となる作品賞を受賞したほか、監督賞、脚本、国際長編映画賞(旧外国語映画賞)の4部門に輝くなど世界的に注目を集めた。キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。共演に「最後まで行く」のイ・ソンギュン、「後宮の秘密」のチョ・ヨジョン、「新感染 ファイナル・エクスプレス」のチェ・ウシク。

(映画.com参照)

 

基本点

≪序盤≫2点

≪再観≫3点

≪勧め≫3点

≪語り≫3点

計11点

≪笑い≫2点

≪泣き≫2点

≪興奮≫3点

≪共感≫2点

≪場面≫3点

計12点

終結≫2点

≪独創≫3点

≪配演≫3点

≪撮構≫3点

≪楽易≫3点

計14点

 

計37点

 

ボーナス点

≪熱意≫2点

≪学び≫2点

≪驚愕≫2点

≪映画≫2点

 

 

≪美爽≫2点

≪求め≫2点

≪思出≫0点

≪他ボ≫1点

計11点

 

≪基本点≫ 37点+ ≪ボーナス点≫ 11点 = 48

 

解説

アメリカの映画賞であるアカデミー賞の歴史上、初めて(アメリカから見て)外国語の作品が作品賞を受賞した事でも有名になった本作。「貧乏家族が金持ち家族の家に寄生(パラサイト)する」という基本設定だけでも十分面白いのに、二転三転するストーリーに加え、ハッとさせられる社会風刺に度肝抜かれた。

 

ジャンルのジェットコースター

本作はジャンルのジェットコースターだと感じた。まず序盤はコメディ。主人公一家の日常生活や会話、寄生を始めた時のこだわりが強い奥さんがあっさり騙される様は、シュールに笑える。それが一人また一人と金持ちに取り入っていくうちに、いろいろな手段を使いそれが上手くいくかドキドキする感じがケイパー(泥棒)モノのようにも見える。そして話がある程度落ち着いてきたところで、唐突な展開が起こってから急激にサスペンススリラーになる。ここまで来てしまうともう最後まで眼を離す事が不可能。雪崩のように急展開をくり返し、異なる立場二組の家族を交互に映し出すことで、格差社会を痛烈に批判する風刺映画となる。そして終盤、感情の高まった各キャラクターが起こす行動によって景色がホラーへと一変。そこからどうオチをつけるのかと思いきや、静かなドラマとして家族愛に終わる。こんなにもコロコロとジャンルが変わる作品も珍しいと思うとともに、その変貌と構成が上手いと思った。

 

目に見えない格差を自然に描く演出

本作が一番評価されている点は、格差社会を上手く見せている事ではないかと思う。半地下に住む主人公たちが寄生する富裕層の家が丘の上にあり、富裕層住宅街から半地下の家に帰るまでの道がとても長い階段となっており、目に言えない貧富の差を視覚的に表現されている。また、どんなに表面だけ取り繕っても埋まらない富裕層との壁を目に見えない「におい」として表現している。格差を言葉ではなく、「階段」で「におい」で見せるのは凄い事だと思う。

 

風刺

更に単純に格差を描くだけでなく、立場が変われば誰でも冷酷になり得るかもしれないことも描かれている気がする。最初は「持たざる者」だった主人公一家も、寄生を完了させると、以前の自分たちと同じ立場だった人を見下し簡単に突き落とす。そんな登場人物の中で唯一、自分が蹴落とした人間のその後を心配する父親主人公が印象的だった。

普段、社会問題に声を上げながら、自分ももしかしたら何かに加担しているのかもしれないと、改めて考えさせられた。

 

今まで韓国映画はほとんど手を出してこなかった(べつに反韓とかじゃなく、単純に興味がなかった)。しかし、2017マイベスト『新感染ファイナル・エクスプレス』を観てから、韓国作品にも少し興味が出てきていたので、今後もっと手を出していこうと思った作品だった。

 

 

 

 

1位『ジョジョラビット』

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[日本公開] 2020.1.17 109分 アメリカ/ドイツ

[ジャンル]  戦争、コメディ、ハートフル

[監督] タイカ・ワイティティ

[キャスト] ローマン・グリフィン・デイビススカーレット・ヨハンソン、トーマシン・マッケンシー、サム・ロックウェル

解説

マイティ・ソー バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティ監督が第2次世界大戦時のドイツに生きる人びとの姿を、ユーモアを交えて描き、第44回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞した人間ドラマ。第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、空想上の友だちであるアドルフの助けを借りながら、青少年集団「ヒトラーユーゲント」で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかいの対象となってしまう。母親とふたりで暮らすジョジョは、ある日家の片隅に隠された小さな部屋に誰かがいることに気づいてしまう。それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女だった。主人公のジョジョ役をローマン・グリフィン・デイビス、母親役をスカーレット・ヨハンソン、教官のクレツェンドルフ大尉役をサム・ロックウェルがそれぞれ演じ、俳優でもあるワイティティ監督が、ジョジョの空想の友だちであるアドルフ・ヒトラーに扮した。第92回アカデミー賞では作品賞ほか6部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した。

(映画.com参照)

 

基本点

≪序盤≫3点

≪再観≫3点

≪勧め≫3点

≪語り≫2点

計11点

≪笑い≫3点

≪泣き≫3点

≪興奮≫3点

≪共感≫3点

≪場面≫3点

計15点

終結≫3点

≪独創≫3点

≪配演≫3点

≪撮構≫3点

≪楽易≫3点

計15点

 

合計41点

 

ボーナス点

≪熱意≫2点

≪学び≫2点

≪驚愕≫1点

≪映画≫1点

 

 

≪美爽≫2点

≪求め≫2点

≪思出≫0点

≪他ボ≫0点

計10点

≪ボーナス点≫

≪基本点≫41点 + ≪ボーナス点≫10点 = *1

 

 

まずはじめに、本作は某少年漫画とは一切関係ありません。戦時中のドイツを舞台にしていますが、サイボーグ軍人は出てこないです。不死身の生物はいないし、何世代も続く話でもありません。そのかわり、悪霊は出てこないけど、イマジナリーフレンドが物語に大きく関わります。そして、人間讃歌は、ガッツリあります!

 

…と、どうでもいい前置きはこれくらいにして…。今作は、ナチスに忠誠を誓う10歳の少年ジョジョが主人公で、そのイマジナリーフレンド(空想上の友達)がアドルフ・ヒトラーというとんでもない設定のコメディ。このアドルフ・ヒトラー役を『マイティ・ソー バトルロイヤル』でもコミカル路線で好評を博したタイカ・ワイティティ監督が熱演。これだけ聞くと不謹慎だけど、その中身は正当な反戦風刺映画であり、人間愛にあふれたハートフルな物語だ。こんなに笑えた戦争映画は初めてなので、戦争映画や重い話が苦手な人にもお勧め。ナチス時代をコメディで描いている点は加害者版『ライフイズビューティフル』であり、子供目線で苦しい現実を描いている点は戦争版『フロリダプロジェクト』のようにも感じた。

主人公の成長

私は、作中で主人公が成長する作品が好きだが、今作のジョジョはまさにそれ。はじめはナチスヒトラーを尊敬し憧れていたが、ユダヤ人少女エルサとの交流を通して、そのナチスの思想に疑問を持ち始める。序盤で母親に結んでもらわないと履けなかった靴が、物語終盤ではジョジョが結んであげる側になっていたのも印象的だった。

母は偉大

そしてスカーレット・ヨハンソン演じる母親ロージーが最高に良い。裏ではユダヤ人少女エルサを匿いながら反ナチ活動をしているが、ナチスに心酔するジョジョを頭ごなしに否定する事をせず彼を影から支える。でもナチがやっている虐殺等の現実からは、しっかり目を反らさせない。ジョジョに対してもエルサに対してもだが、大人の立場から「絶望が終わりではない事」や「恋や人生のすばらしさ」を説くのもすばらしい。

ファシズムの恐怖

また、本作中で出てくる「ドイツ人こそ最も優れた民族だ」とか「ユダヤ人は穢れていて、人間ですらない怪物だ」といったナチスの洗脳教育。現代の我々の目線からすればバカバカしいが、登場人物がそれを大真面目に話し合っている描写がファシズムや洗脳の恐ろしさとして表現されている。

子供目線で描く「戦争」

撮り方が上手いなと思ったのは、前半はカラフルでポップな明るい雰囲気だったのが、後半大きな出来事が起こってから徐々にうす暗くモノクロな寂しい雰囲気になっていく。これは、今作が10歳の少年の目線で「戦争時代の社会」を描いていることを表しているのだと感じた。「ナチスドイツは優れていて戦争も勝ち続けている」と信じて疑わなかった少年が、少しずつ嘘に気付き現実を知り悲しみに直面していく事で、彼の眼に映る世界から色が失われていく事を表現している。

 

 

他にもサム・ロックウェル演じるキャプテンKやジョジョの現実での友達ヨーキーなど多くの個性的で愛おしいキャラクターが登場する。笑えて泣けて、平和とは?人生とは?いろいろ考えさせられる本作『ジョジョラビット』は、老若男女誰にでも勧められて、何度でも観返したい素晴らしい作品でした。愛は最強。

 

 

 

 

 

 

以上が、私たまこしが選ぶ2020年映画ベスト10です。

 

10位『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BRDS OF PRAY41

9位『ミッドサマー』42

8位『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』45

7位『ワンダーウーマン198445

6位『グッド・ボーイズ』45

5位『テネット』46

4位『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』47

3位『ナイブズアウト 名探偵と刃の館の秘密』47

2位『パラサイト 半地下の家族』48

1位『ジョジョラビット』50(1)

 

 

映画業界に限った話ではありませんが、2020年コロナ渦で思い通りにいかない大変な年でした。悲しいニュースも沢山ありました。しかし、振り返れば悲しいニュースばかりでもなかったと思います。

厳しい状況でも映画制作・公開に努力してくれた監督スタッフや関係者のみなさん、夢と希望を発信し続けて励ましてくださった俳優のみなさん。ありがとうございます。

2021年も夢と希望のある新作映画を楽しみにしています。

 

 

 

すべてを経験せよ

美も恐怖も

生き続けよ

絶望がゴールではない

―R・M・リルケ

(『ジョジョラビット』より引用)

*1:50点(+1