タマコシ シネマティック ユニバース

主に映画レビュー。その他はどーでもいーこと

映画4作同時レビュー

二ヶ月ぶりの更新。最近、仕事が忙しくて趣味に割く時間がなかなか作れない。絶対に外せない作品だけは、なんとか劇場で観てきたけど、それをレビューする暇は本当に無かった。長期休みに入ったので今年も年間ベスト10作品をまとめたいけど、その前に直近2カ月に観た4作品を一つの記事で同時レビューする。

 

 

 

 

 

 

『IT/イット THE END "それ”が見えたら、終わり。』

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原題(IT Chapter Two)

公開11.1   169分

アメリカ、ホラー

 

二年前に公開された『IT/イット "それ"が見えたら終わり。』の続編にして完結編。前作では少年編のみで構成されていたのに対し、今作ではオリジナル通り大人編メインで合間合間に少年時代の回想が入る形。前作でもハイレベルなホラー描写だったが、今回はその何倍にも増したホラー描写のオンパレードで169分という長時間でも全く気の休まる暇が無い。

「【恐怖】とは何なのか?」。今作においてそれは、過去のトラウマ・罪悪感・劣等感・コンプレックス・心の弱さetc…。少年時代に抱えていたそれらの【恐怖】は、大人になって忘れていが、心の奥底には残っていて根本的な解決はできていない。そんな忘れていた【己の恐怖】と改めて向き合い克服すること。それこそが今作のテーマであり面白い所だと感じた。

漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の原作者・荒木飛呂彦先生もリスペクトするスティーブンキング原作なので、今作はジョジョ(特に第四部)に通ずる要素やテーマが至る所にある。なので、今作はジョジョラーにこそ観て欲しい作品である。

 

 

 

ターミネーター ニュー・フェイト』

 

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(Terminator:Dark Fate

公開2019 129分

アメリカ、アクション/SF

まず、私が映画好きを自覚するキッカケになった作品のひとつが『ターミネーター2』であり、それ以上に好きなマイベストムービーのひとつが一作目の『ターミネーター』だ。賛否両論湧きあがった今作だが、私は若干のモヤモヤはありつつも概ね満足している。

何よりメインキャラ三人の女性が素晴らしい。28年ぶりのシリーズ復帰を果たしたサラコナー役リンダハミルトンは、一作目で守られ逃げるだけだったのに対して、今作ではむしろ積極的にターミネーターを狩りに行く最高にカッコイイおばあちゃん。グレース役マッケンジーデイヴィスはエロすぎない丁度いい美しさとカッコ良さ。一作目のサラコナーポジションのダニーは、守られるばかりでではなくむしろ積極的に闘いに行く。この三人の活躍する女性キャラクターの関係性や作中での成長は、長期シリーズの最新作として正しい現代風アップデートだと言える。

今作、序盤から衝撃的だったのは、審判の日は回避できた”のに”、スカイネットが数体のターミネーターを過去に送った事は変わらない。そしてその一体にあっさりジョンコナーが殺されてしまっていたこと。この展開により本作が「未来戦争やジョンの物語」ではなく「サラコナーの物語」であることが強調される。そして今回登場するターミネーターREV-9はスカイネットとは無関係に別の人工知能リージョンが支配する未来から来たことが明かされる。結局人間は同じ過ちを繰り返す。

今作唯一のモヤモヤは、T-800についてだ。「殺人目的で作られたターミネーターが実は命の尊さや愛を学ぶこともできる」というのは、確かに二作目で示されたテーマではある。でも、でも、でも・・・ジョンを殺害した個体が任務完了後に自主的に家庭を持って子育てを経験して愛を学んで後悔からサラの味方をする。これは私的には無理があるように感じた。「愛を学んでなんやかんや最後はサラの味方になる」このゴール自体は良いとして、その持って行き方として他に無かったのか?これではシュワちゃんを本作に登場させるために無理やりシナリオに組み込んだように見えてしまう。そこだけが残念でならない。

 

 

 

ゾンビランド:ダブルタップ』

 

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公開11.22  99分

アメリカ、アクション/コメディ/ホラー

 

大好きなゾンビ映画だが久々に新作を鑑賞。10年前の前作、ポップで爽やかな雰囲気はそのままに癖のある個性的なキャラクターは増え、ゾンビもアクションもレベルアップしている。学びも風刺も全然ないけれど、とにかく笑えてスカッとする気持ちのいい作品。

ターミネーター鑑賞直後だったこともあって、「アスタラビスタ ベイビー」が印象に残った。

 

 

ぼくらの7日間戦争

 

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公開12.13  88分

日本、アニメ/青春

高校生版ホームアローンであり、日本版ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー!「それなりに面白そうだな」程度の期待値だったのだけど、観てみると想像以上に面白くて良い作品だった。

リメイク作品だが単純な焼き直しではなく、現代ならではの問題や若者の悩みをガッツリと取り入れられていて感心した。冒頭数十分は想像通りの展開なのだが、タイ人の子マレットが登場してから雰囲気が一変し展開が読めなくなる。ただの「子供VS大人」以上に「社会弱者VS権力者」の構図がリアルで大人が子供を追い詰めるやり方もえげつない。それに対して主人公たちもあらゆる作戦を駆使して大人たちを翻弄するので、どちらが勝つのか最後まで読めない。

中盤の絶望的展開では、主人公たちの結束力が崩壊しかける。だが、そこでの主人公の決心行動がキッカケとなり仲間たちの意識と行動がドミノ式に良い方向に変化して、むしろ絶望展開前よりも仲間同士の絆が強くなる。ここはガーディアンズに近いものを感じた。

 一つマイナス点を挙げるなら、来日たかだか1~2年のマレットがあまりにも日本語ペラペラであるところ。揚げ足取りのような気もしなくもないが、せっかく外国人労働者の人権問題を取り上げるのであれば、そこも片言にするなり突き詰めて欲しかった。