タマコシ シネマティック ユニバース

主に映画レビュー。その他はどーでもいーこと

タマデミー賞2019!(年間映画ベスト10)

 

 あけましておめでとうございます。忙しさを言い訳に二カ月も更新をしていない状況が続いてしまいました。鑑賞して良かった作品も殆どレビュー出来ていませんが、せめて年間ベストだけはまとめたいと思います。今年は過去最低の18本しか劇場で観る事ができず、観たかったのに観られなかった作品も沢山あります(まあ、それは毎年ではあるけれど・・・)。ちなみに昨年のベスト10は以下の記事

 

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 ジャンルも、面白さのベクトルも、人に薦めたいか個人的に好きかの具合も、全くバラバラな映画作品。そんな映画のランキングを決める時、毎回悩んでしまうのですが、今年は基準を少し変えてみることにします。面白かったかどうかは当然の基準ですが、それ以上に「自分がその作品にどれだけ影響を受けたか。鑑賞前後にどれだけ脳内精神を支配されたか。」を重要な選考基準とします。

 

対象作品は

  1. 2019年に日本国内で上映されているもの
  2. その中で、私が劇場で鑑賞できたもの

として、以下がその作品

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』  『スパイダーマン:スパイダーバース』  『キャプテン・マーベル』  『シャザム』  『アベンジャーズ/エンドゲーム』  『映画クレヨンしんちゃん 新婚ハリケーン~失われたひろし』  『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』  『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』  『新聞記者』  『天気の子』  『メン・イン・ブラック:インターナショナル』  『トイ・ストーリー4』  『小さな恋のうた』  『ジョーカー』  『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』  『ターミネーター ニュー・フェイト』  『ゾンビランド:ダブルタップ』  『ぼくらの7日間戦争

 

 

 

ベスト10を発表する前に、残念ながらランクインしなかったもので「これは紹介したい」と思ったものを2本書かせてほしい。

 

 

 

『映画クレヨンしんちゃん 新婚ハリケーン~失われたひろし』

公開4.19  100分

日本  アニメ/ファミリー

 

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 TVアニメの劇場版は、基本殆ど観ないのだけれど、今作は甥姪の子守りついでに観に行ってきて、なかなか良かった。題名は「クレヨンしんちゃん」と言いながらも、実質的に主人公はみさえとひろし。ちょっと大げさな言い回しになるけど、恋愛とか恋人とかを超越した「夫婦の絆」みたいなものを感じて涙した。

 元々主題歌を歌っているあいみょんが好きなのだけれど、今回の「ハルノヒ」はまさに「結婚して夫婦になる」とはどういうことかを歌っているような気がする。

 

焦らないでいい いつか花束になっておくれよ

僕らは何も見えない未来を誓い合った

 

どんな未来が こちらを覗いてるかな

君の強さと僕の弱さをわけ合えば どんな凄いことが起きるかな?

ほら もうこんなにも幸せ

いつかはひとり いつかはふたり

いやもっともっと 大切を増やしていこう

 

 

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『小さな恋のうた』

公開5.26  123分

日本  音楽/青春

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 沖縄を代表するバンド「モンゴル800」の同名曲を題材にした沖縄の高校生バンドの話。ただの青春モノかと思いきや、長年沖縄が抱える米軍基地問題をガッツリと取り込んでいる。日常に基地があるとはどういうことなのか、日本人とアメリカ人両方の視点で描かれているのもよかった。

 唯一にして最大のマイナス点は、登場人物が標準語で話していること。これだけ「沖縄」を描いているのだからそこはウチナーヤマトグチでやってほしかった。

 

 

 

 

ということで、この先10位から順番に行きます。

 

 

 

 

10位『新聞記者』

公開6.26  113分

日本  社会派サスペンス

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 若手女性新聞記者と若手エリート官僚の対峙と葛藤を描く社会派サスペンス。あまりにも現実とのリンクが多くて、ほとんどノンフィクションと言ってもいい気がする。「権力」というものの気持ち悪さがこれでもかという程に描かれている。ニュースだけだと出来事ばかりに目が行きがちだけど、「一人の記者」「一人の官僚」という個人の目線で話が進むから、「なぜそんな恐ろしい事ができるのか?」「なぜ権力に抗えないのか?」ってのがなんとなくわかった気がする。観ていてあまり気持ちのいい作品ではないかもしれないけれど、絶対に観る価値はある。

 

 

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9位『ぼくらの7日間戦争

公開12.13  88分

日本  アニメ/青春

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高校生版ホームアローンであり、日本版ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。想像していたよりも面白かった。単純な子供VS大人ではなく、社会弱者VS権力者として描かれているように感じた。

リメイク作品だが単純な焼き直しではなく、現代ならではの問題や若者の悩みをガッツリと取り入れられていて感心した。冒頭数十分は想像通りの展開なのだが、途中から雰囲気が一変して先が読めなくなる。

途中、絶望的状況でチームが崩壊しかけるのだけれど、そこからあるキッカケで改めて結束力が強化されて、むしろチーム崩壊前よりも絆が強くなるのがガーディアンズに近いものを感じた。

 一つマイナス点を挙げるなら、来日たかだか1~2年のマレットがあまりにも日本語ペラペラであるところ。揚げ足取りのような気もしなくもないが、せっかく外国人労働者の人権問題を取り上げるのであれば、そこも片言にするなり突き詰めて欲しかった。

 

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8位『スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』

6.28  130分

アメリカ  青春/アクション

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 何より7回目の実写映画化でこのクオリティ、『エンドゲーム』の盛り上がりの後でこの勢いなのが凄い。『シビルウォー』『ホームカミング』『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』を通してのピーターの成長が良い。大人として認められたくて背伸びしていた少年が、認められた途端に責任の重さからまだ子供でいたくなる。思春期の心を上手く描いている。

宇宙最強サノスの次のミステリオの描き方が意表を突かれた。ジョジョを知らない人には申し訳ないが、例えるなら三部ディオからの四部吉良吉影のような感覚。「お前らの観ているものはフィクションだぜ」「錯覚、嘘に騙されてないか?」、ミステリオにそう言われているような気がした。

本作レビューとは直接関係ない話にはなるけど、今年のスパイダーマンはいろいろあった。『スパイダーバース』も最高の作品だった。そして、MCU離脱騒動。スパイダーマン無しで今後のMCUどうすんだよってほんとガッカリだったけど、裏でディズニーとソニーを和解に繋げてくれたトムホランドに本当感謝。彼は、作中においても現実においても、ヒーローだった。

 

 

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7位『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

公開5.31 132分

アメリカ アクション/モンスター

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ゴジラシリーズについては、自信を持って語れるほど詳しくは無いのだけれど、この作品はもうなんかメチャクチャ凄かった(語彙力・・・)。あの『シン・ゴジラ』も好きな作品ではあるけど、それとは全く別ベクトルの凄さ・大迫力。日本で怪獣特撮と言えば、着ぐるみとミニチュワなイメージだが、現代ハリウッドの映像技術でそれを表現するとこんなにも迫力のあるものが出来上がるのか。

怪獣同士の覇権争いの中で、キングギドラが恐ろしく強いうえに人類の敵として描かれていて、「敵の敵は味方」理論で終盤ゴジラキングギドラと闘う場面ではもの凄い興奮が収まらなかった。

そんな存在感ありまくりの怪獣たちの中で、基本的に人間キャラクターは脇役に見えてしまうのだけれど、最後の決着後に人間の学者同士の会話セリフが印象に残った。

男「彼(ゴジラ)が人類の味方で、本当に良かった・・・」

女「今は・・ね・・・」

 

今後のモンスターバースシリーズも楽しみ。

 

 

 

 

6位『キャプテン・マーベル

公開3.15  124分

アメリカ  SF/アクション

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MCU初の単独女性ヒーロー作品。主人公キャロルダンヴァースがホントに強くてカッコイイ。この「強さ」というのは、単純なスーパーパワーの事以上にメンタルというか「撃たれ強さ、芯の強さ」的な意味だ。冒頭で記憶を無くしたキャロルは、並はずれたスーパーパワーを持ちながらも上司から「お前にはまだ早い」と力の使用を制御される。ストーリーが進み、いろいろな事実が明るみになった時、彼女はその力を爆発させる。権力者が他人を利用したり押さえつける状況、あらゆるパワハラ、偏見差別、そういうものに負けないエネルギー。終盤、劣勢を悟った敵が「正々堂々と素手で勝負しろ」と言ってくる。キャロルはそれを無視してブッ飛ばす。「テメェのルールになんか乗っかるものか!」と言わんばかりに。そのカタルシスがたまらない。

 

 

 

 

 

5位『IT/イット THE END "それ”が見えたら、終わり。』

原題(IT Chapter Two)

公開11.1   169分

アメリカ、ホラー

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二年前に公開された『IT/イット "それ"が見えたら終わり。』の続編にして完結編。前作では少年編のみで構成されていたのに対し、今作ではオリジナル通り大人編メインで合間に少年時代の回想が入る形。前作でもハイレベルなホラー描写だったが、今回はその何倍にも増したホラー描写のオンパレードで169分という長時間でも全く気の休まる暇が無い。

「【恐怖】とは何なのか?」。今作においてそれは、過去のトラウマ・罪悪感・劣等感・コンプレックス・心の弱さetc…。少年時代に抱えていたそれらの【恐怖】は、大人になって忘れていが、心の奥底には残っていて根本的な解決はできていない。そんな忘れていた【己の恐怖】と改めて向き合い克服すること。それこそが今作のテーマであり面白い所だと感じた。

漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の原作者・荒木飛呂彦先生もリスペクトするスティーブンキング原作なので、今作はジョジョ(特に第四部)に通ずる要素やテーマが至る所にある。なので、今作はジョジョラーにこそ観て欲しい作品である。

一つ不満なのが、邦題だけ納得いかない。前作の時から思っていたことだけど、シンプルに『IT/イット』『IT/イット チャプター2』と出来なかったのか?

 

 

 

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4位『シャザム!』

公開4.19  132分

アメリカ  アクション/コメディ

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歴代のDCEU作品の中で一番好き。シリアスな雰囲気が主なDC作品の中ではかなり明るめの作品。『ショーン・オブ・ザ・デッド』以来の挿入歌「ドント・ストップ・ミー・ナウ(クイーン)」が激合いな作風。

主人公の少年ビリーがひょんなことから大人の姿のスーパーヒーローの力を手に入れる。はじめ彼はその力をいたずらや遊びに利用する。これだけ聞くとバカげたコメディに聞こえるけど、実際は(疑似)家族愛兄弟愛を感じるハートフルストーリーでもある。

ビリーを含めて登場する子供たちは皆、何かしらの事情で実の親がいなくて同じ里親の元で暮らすことになった義兄弟だ。血のつながらない彼らが「真の家族」「真の兄弟」になる過程。この子供たちの冒険と活躍がジュブナイル的なのも良い。

主人公ビリーとメインヴィランのシヴァナはどちらも幼い時に、親との関係において何かしらの問題を抱えている。そんな二人がそれぞれスーパーパワーを手に入れた時に、それをどう使いどんな行動を取るかの違いこそがヒーローorヴィラン(善or悪)を分ける比較になっていて面白い。

 今の子供たちに一番観てほしい作品、誰かにとってのバックトゥーザフューチャー、誰かにとってのインディージョーンズ、誰かにとってのスタンドバイミー、そうなれるだけのポテンシャルがある。まだ幼い新たな映画ファンを作り出す、そういう作品になってほしい。

 

 

 

3位『天気の子』

公開7.19 114分

日本 アニメ/ファンタジー/青春

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実を言うと正直あまり期待をしていなかったのだけれど、観終わると凄い好きになっていた。『君の名は』より好き。まず映像と音楽が良い。実際の写真と殆ど変わらないくらいに描き込まれている。花火のシーンでは、あまりの美しさに涙が流れた。

感じたテーマは「子供の貧困」。家出少年と親を亡くした姉弟。大人の作った社会は、そんな彼らに厳しい。例えば、「18歳未満は水商売で働けない」とか「親のいない子供を児相で保護する」とか。本来子供を守るために存在するはずのルールが、逆に彼らの居場所を奪い追い詰めている矛盾。インスタント食品の山を前に弟が「今日は御馳走だ!」とはしゃぐ姿が彼らの生活の苦しさを表している。

二人の純愛がグッときた。自分を犠牲にしても彼の願いを叶えたい、世界を敵に回しても彼女を守りたい。クサいようだけど、賛否分かれるとこだろうけど、私はそこに涙した。

 

 

 

2位『ジョーカー』

公開10.4  122分

アメリカ  クライム/スリラー

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ギリギリまで一位にするか迷った。アベンジャーズの真の敵はサノスではなかった、DC作品だった。エンタメ作品のフリをして、ガチガチの社会風刺作品。ヒーロー映画が大ヒットする現代、一方で世界のあちこちで政府批判や社会の混乱が起こる現代、そんな時代に「ジョーカー」というキャラクターを使ってコレを描くのが凄くて、上手くて、意味がある。DCEUから切り離して、バットマン不在で作品を作ったのは大正解だった。

世間は、ヒーローのような明るい事ばかりにスポットライトを当てるけど、実は同じくらい(もしかしたらそれ以上に)ヴィランのような暗い現実も存在する。そういうヴィラン(悪)というのは、我々一人ひとりが自覚なく知らないうちに作り出しているのかもしれない。というかヒーローとヴィラン(正義と悪)の境目なんて立場・視点の違いでしかない。そんなことを改めて、より強く思い知らされた。

 

 

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1位『アベンジャーズ/エンドゲーム』

公開4.26  181分

アメリカ  アクション/SF

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もはや、言うまでもない2019年を代表する作品。昨年2018年の一位に『インフィニティ・ウォー』を持ってきておいて、今年の一位にもアベンジャーズを持ってくるのってどうなの?ってのも若干の葛藤はあったけれど、こればっかりは抗えない。エンタメシリーズ作品の完結編としてこんなにも優れたモノを他に知らない。後にも先にもこれほどの衝撃・興奮・感動・号泣をした作品は他にない。間違いなく「人生最高の映画体験」をした。場面の一つ一つが、セリフの一言一言が、各キャラのやり取りの表情の一瞬一瞬が、その全てに意味がある。だからどの場面を見ても心震えるし、クスッと笑えるし、涙が止まらない。

シリーズ的に云々とかキャラクターのドラマがどうとかってのは、よそのレビューでも散々書かれいてるし私の鑑賞直後の記事でも書いているのでここでは割愛して、前回書き忘れた事で人が書いてなさそうな話をひとつ。

タイムトラベル映画が大好きなのだけど、今作のタイムトラベルの扱い方がまた良かった。「過去に行く事は可能だが、歴史を変える事は出来ない。過去で何かやっても歴史が変わるのではなく、分岐が起きて複数の現実が生まれるだけ。」。だから過去に行く目的が「歴史を変える事」ではなくて、「明るい未来に進むため」なのがいい。これは今までありそうで無かったし、タイムパラドックスに対してもの凄い納得できる。また、タイムトラベル映画の金字塔『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を完全否定しながらも、リスペクトしている事が伝わってくる。

 

 

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こう書き終えてみると、やっぱり偏ってみえる。2019年もやはりヒーロー映画ばかりになってしまった。 

まとめ

10位『新聞記者』 

9位『ぼくらの7日間戦争

8位『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』

7位『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 』

6位『キャプテン・マーベル

5位『IT/イット THE END”それ”が見えたら、終わり。』

4位『シャザム』

3位『天気の子』

2位『ジョーカー』

1位『アベンジャーズ/エンドゲーム』

 

それにしても最近のヒット作に感じるのは、70年代80年代の名作たち香り。去年の「レディプレイヤー1」なんかはガッツリそうだったけど、今年の「ジョーカー」「シャザム」「IT/イット」「キャプテン・マーベル」etcにしても名作映画のアレやコレを感じさせる要素があちらこちらにあって、いろいろ観返したくなった。

 

今年は生活環境が激変して今までより余裕ができる予定なので、もっと沢山のジャンルと本を観られたらいいなと思います。